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作成した小説を保管・公開しているブログです。 現在は連作短編が二篇の他,短編小説,エッセイの類を掲載しています。 連作小説の更新ペースは随時。二か月に三回を最低ラインとして目指しています。
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ネガイカナヘバ5
黒猫堂怪奇絵巻6話目 ネガイカナヘバ掲載5回目です。
半年近く更新してなかったので書いている本人が話を忘れてた……

ネガイカナヘバ1
ネガイカナヘバ2
ネガイカナヘバ3
ネガイカナヘバ4

今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う
黒猫堂怪奇絵巻5 キルロイ


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不思議の国7
不思議の国はここで完結です。
文字数調整しながらごりごり押し込んでいったのですが、
実は原稿段階では場面5までしかなかったんです。
5を全部突っ込めるぎりぎりの文字数で調整した結果がここ!
(以下、本編です。字数オーバーになるため、冒頭無駄話は割愛)
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 その硝子細工は、人間の形をしていたという。バレリーナが片足を上げていて、表題は踊り子の刻。表面は非常にきれいに磨かれている。それでも、ひびのようなものが目立ち、壊れやすいのでご注意くださいという記載がそのひびを生々しく感じさせたという。
 ところが、近づいてみるとこの硝子、ひびなど一つもない、とてもきれいな表面だった。ひびのように見えるのは、硝子の中に何層もの硝子の層があるからだ。表面の硝子と中の硝子が別の形状で作られているため、ひびが入っているようにみえるというからくりだ。
 もっとも踊り子の像のように、何重にも薄い硝子の層を積み重ねる技術があるかといわれると疑問ではあるが。
不思議の国6
死体の描写のために死体をみるという話。

より深いリアリティーのためには本物を見なくっちゃあ!
というのは、定期的にいろんな作品で見るんですが、死体の描写のために死体を見る作家ってどれくらいいるのだろうと思っています。
法医学のテキストとかを見れば、ある程度、死体に関する基本情報は入ってくるとは思うんですが、たぶん、生の死体をみるのが一番死体について詳しくなる道だとは思うのです。

ただ、自分を振り返ってみると、死体を見る経験はできればそれほど重ねたくはない。

何度か機会があって死体をみたことはありますが、やっぱりどうして、あれは生きていない。
文学的な表現をするなら魂が抜けたってことなのだろうし、落ち着いて比較をするなら、血が通ってないし、表情がない。筋肉が弛緩していて、輪郭がぼやけている。
死体は、身体というのは容器であって、中身が入っているのといないのでは違うのだなと、文章に起こそうと思えばなんやかんやと表現ができなくはないのです。
けれども、死体そのものを目の前にしたときは、「ああ、こりゃあ死んでるねぇ」という気持ちと、「ちょっと怖いな」という気持ちがぶつかって混乱してしまい、あんまり死体を観察できなかった。
ああいう場面で死体を緻密に観察することができる能力っていうのは、場数を踏めばついてくるものなのか、そして、そもそも場数を踏むべきなんだろうか、というのを、死体を描くシーンをうっかり作った時によく思い返します。

ところで、ネット上の感想とかでは、スポーツの道具の持ち方が違う云々はあっても、あの死体はおかしい!という死体警察みたいなのは出現していないところを見ると、みんな死体に関する取材にそんなに熱心ではないのだろうか…(そもそもそんなに日常的に死体が見られる生活スタイルの人がいない?)

(以下本編です なお本編の内容と冒頭の駄文に関連性はありません。)
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不思議の国5
ブログの制限文字数について
ブログって長々と書くことないから、制限文字数なんて超えることないよね。
と、中学生くらいの時、ブログを始めた時は思ったものです。
小説保管庫として使い始めて数年。
初めはブログをベースに話を区切っていたので、制限文字数を気にしたことがなかったのです。
ところが、黒猫堂は顕著ですが、ブログにおさまるっていうか、電子媒体に納める長さじゃない小説を書き始めると、ブログの制限文字数はとても厳しいものになっていきます。
具体的には、ほどよい場面転換で区切れなくなる(紙を想定していると、ここまでなら一気読みできるんじゃないかっていう気持ちがわく)のです。
こういう隅々まで目が行き届いていない物書きにとってはブログの文字制限は厳しい。

今年はちゃんとウェブページを持ちたいな!
あと、このブログにもちゃんと名前を付けてあげよう。
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 視界は暗く、自分がどこにいるのかわからない。だが、車で奇妙なモノに襲われてからそれほど時間は経っていないはずだ。視界が暗いのであれば、ここは室内だろう。
 目が慣れてくると、遠くにぼんやりと灯りがともっているのが見えた。等間隔でいくつか灯りが並んでいるように見える。
 音葉は座っている椅子から立ち上がろうと思ったが、両脚と両腕が何かで固定されており、椅子から立ち上がることができない。縄にしては冷たく、手錠のようなものにしては軽い。
 椅子の後ろで両手を固定している何かを椅子にぶつけてみる。椅子にぶつかった音で、おおよそ見当はついた。音葉の両手両足を固定しているのは、硝子だ。
「水鏡、近くにいるか」
 声は帰ってこなかったが、コトンという音が反ってきた。いくつか質問をしてみると、同様に音が戻ってくる。
―話すことはできないか?
 コトン。コトン。
―ここが何処なのか手がかりはあるか
 コトン 
―歩くことはできるか
 コトン。コトン。
―等々力刑事の鑑定結果は?
 コトン。コトン。コトン。コトン。・
―奴は、スペードの1だったか?
 コトン。
 音葉は、質問をやめた。音を立てていた何かも静かになり、こちらの気配を探っている。思い出せ。あの妙なモノに襲われた瞬間のことを。
不思議の国4
不思議の国、4回目。
この話で出てくる団地について。
団地に関しても、今回イメージを付けようと思って、近所の団地をいくつか訪れました。
結果、イメージなんてつかなかったので、団地ってなんやねんって思っています。
昔々、一度だけ団地に暮らした記憶があり、その時の感覚を元にすると、「団地=特定の企業や官庁の宿舎の集合」なのですが、外側から団地という建物の集合を見た時に、先のイメージに関する要素が見受けられなかったのが意外といえば意外でした。
というか、単にマンション・アパートが集まっているようにしか見えないんですよね……
団地の中でコミュニティが完結するのかといえば、商店などの各種施設は外側にありますから、そうとも限らないし、一つ一つの部屋はマンションの一室と変わらないのではないか、という印象を持ちました。
もっとも、例えば子供を育てている親などにとっては、近所づきあいがあるだろうし、近所の人同士で、相手の家がどんな仕事を生業にしているか薄々わかる(下手したら役職や人間関係までわかる)空間での近所づきあいというのは、普通のマンションとは違うのかもしれないので、建物だけ見聞してくるのは表面的な取材だったのだろうと思います。
おそらく団地というのは、建物としてではなく一つのコミュニティとして捉えるところから始めるべきテーマなのだろうという結論に至り、団地怪談的なものは次回以降の課題の一つに持ち越されてしまったのです。
(以下、本編です)
ーーーーーーーーーー

 港町を訪れて二日目。
音葉は、部屋の中に差し込む日の光に刺激されて目を覚ました。いつも起きる時間よりも一時間ほど早い。
ベッドから起き上がり、二階のレストランに下りた。水鏡は既に起きていたらしく、ビュフェ形式の食事を十二分に堪能している最中だった。
周りの客のテーブルと比較すると優に二人前は食べている。
「おはよう。音葉」
 音葉の姿を見つけた水鏡は、食べかけのパンを皿に置いて手を拭いた。あまり同行者だと思われたくない。そんなことを考える音葉に構うことなく、彼女は机の上の携帯を音葉に投げた。
「昨日の先生から何度か電話が来てる。それで、早く起きちゃったのだけど、音葉と話したいって」
 携帯は、音葉を待っていたかのように震えた。音葉は、入り口で貰ったトレーを水鏡の向かいに置いて、電話を取った。
「やあ、ようやくお目覚めかい。おはよう、久住君」
 電話の先の声は明朗快活だ。昨夜、浴びるほど酒を飲んで千鳥足で帰っていった男性とは思えない。鷲家口眠。この町で会った奇妙な旅行者だ。
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プロフィール
HN:
若草八雲
年齢:
37
性別:
非公開
誕生日:
1986/09/15
職業:
××××
趣味:
読書とか創作とか
自己紹介:
色んなところで見かける人もいるかもしれませんがあまり気にせず。
ブログとか作ってみたけれど続くかどうかがわからないので、暇な人だけ見ればいいような。
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