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作成した小説を保管・公開しているブログです。 現在は連作短編が二篇の他,短編小説,エッセイの類を掲載しています。 連作小説の更新ペースは随時。二か月に三回を最低ラインとして目指しています。
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キルロイ5
黒猫堂怪奇絵巻5話目「キルロイ」の掲載5回目です。
連載再開しました。一月1話ペースくらいで更新続けられるといいなと思います。

前回までの「キルロイ」
キルロイ1
キルロイ2
キルロイ3
キルロイ4

今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――

 夜の陽波高校は住宅街に開いた穴だ。
 夜間のナイター設備などがある高校であれば別なのかもしれないが、夜の学校には人の気配も明かりもない。
 住宅街にはほのかに人工の光が灯されているものだから、余計にその暗さが目立つ。
 そして、構内に満ちる闇は怪異が息を潜めるのにはもってこいの場所だ。


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家族の肖像(後篇)
以前書いたラフテキスト呪絵
に肉付けをして,改題した短編です。
 今回は後篇です。

 前篇はこちら

 前篇に比べると何やら余計な話が増えたような気もするし、いずれリライトしたいような。

ーーーーーーーー
家族の肖像 後篇



 渦中にいる者に、異変は見えない。異変に気がつくのはいつだって外部の者だ。そして、、気がついたころには、いつだって手遅れなのだ。
――――――――――――――
家族の肖像(前篇)
以前書いたラフテキスト呪絵
に肉付けをして,改題した短編です。
 前後篇で終える予定です。
 パソコンが開き難い環境で思いついた文章を残すのに,久々に手書きで小説を書いてみたら,案外文字数かさまないものなんだなと思い(結局長いけれども)たまには手書きで書いてみるのもいいのかもしれないと思いました。


―――――――――――――――

家族の肖像

 絵とは描いた者の内面を抜き取り,被写体に重ね合わせたものである。
 故に,時として,絵には被写体に対する描き手の想いが染み込んでしまう。
――西原当麻 絵画と怪異についての一考察


 家中の荷物をあらかた梱包し,家の中に残っているのは最低限の家具と衣類だけだ。三か月という短い滞在期間も,今日で終わりだ。
 私は,一休みしようと二階の自室から一階玄関へと続く階段を下る。リビングでは父と母が食器の梱包を終えて一息ついたところらしい。母は,お茶にしましょうと台所に消えていった。
 私は,階段を下りる途中,壁紙の色が変色した部分に目をやった。そこにあったはずのものは既になくなってしまったが,四角く縁取られた黒い染みは,かつてそこにあったものを思い出させる象徴である。
 そして,私たち家族に出来た小さな隙間の象徴でもある。

 いや,本当はもっと前から溝はあったのだ。あの老人と青年が言うように,私たちは大きな問題を抱えているにも関わらず,誰も直視しようとしなかった。
 ただ,それだけのことなのだ。
キルロイ4
連作短編,黒猫堂怪奇絵巻の5話目に当たります「キルロイ」の掲載四回目です。

前回までの「キルロイ」
キルロイ1
キルロイ2
キルロイ3

今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――


「そう。それが君の答えということか」
 私は,彼女の髪を一度だけ撫でた。彼女は床に膝をつき,まっすぐ前を見つめたまま,ただそこにいた。
「大丈夫。君がもう一度答えを見つけるまで,君の答えはここにある。これは小休止に過ぎない。だから,不安を覚える必要はないんだ」
 彼女に私の言葉は届いていないだろう。けれども,私は彼女に伝えなければならない。それが,彼女が私の下に来たことへの誠実な対応だからだ。
キルロイ3
連作短編,黒猫堂怪奇絵巻の5話目に当たります「キルロイ」の掲載三回目です。

前回までの「キルロイ」
キルロイ1
キルロイ2

今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――


 あんた、知ってるか。この辺にある高校、なんていったか、陽波。そう陽波だ。陽波の校庭には異界に繋がっている桜があるんだ。
 あれはこの世界の花じゃない。銀色の桜だぞ。この世の桜じゃあないのさ。こことは別の、向こう側からやってきた花だ。もちろん、元々この世界のものではないんだ。誰だって見られるわけじゃない。
 いつでも見られるわけじゃない。条件があるんだ。けれども、きちんと条件を揃えれば、あの異界の花で満開の桜を拝めるというわけさ。条件を教えろだって、見る気もない奴に教えるものじゃない。見る気があるなら自然にわかるさ。
 何のためにそんな桜を探すのかって。そんな質問をする人がいるなんて思いもよらなかったな。俺がいた世界に戻るためじゃないか。
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プロフィール
HN:
若草八雲
年齢:
37
性別:
非公開
誕生日:
1986/09/15
職業:
××××
趣味:
読書とか創作とか
自己紹介:
色んなところで見かける人もいるかもしれませんがあまり気にせず。
ブログとか作ってみたけれど続くかどうかがわからないので、暇な人だけ見ればいいような。
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