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作成した小説を保管・公開しているブログです。 現在は連作短編が二篇の他,短編小説,エッセイの類を掲載しています。 連作小説の更新ペースは随時。二か月に三回を最低ラインとして目指しています。
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キルロイ3
連作短編,黒猫堂怪奇絵巻の5話目に当たります「キルロイ」の掲載三回目です。

前回までの「キルロイ」
キルロイ1
キルロイ2

今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――


 あんた、知ってるか。この辺にある高校、なんていったか、陽波。そう陽波だ。陽波の校庭には異界に繋がっている桜があるんだ。
 あれはこの世界の花じゃない。銀色の桜だぞ。この世の桜じゃあないのさ。こことは別の、向こう側からやってきた花だ。もちろん、元々この世界のものではないんだ。誰だって見られるわけじゃない。
 いつでも見られるわけじゃない。条件があるんだ。けれども、きちんと条件を揃えれば、あの異界の花で満開の桜を拝めるというわけさ。条件を教えろだって、見る気もない奴に教えるものじゃない。見る気があるなら自然にわかるさ。
 何のためにそんな桜を探すのかって。そんな質問をする人がいるなんて思いもよらなかったな。俺がいた世界に戻るためじゃないか。
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キルロイ2
連作短編,黒猫堂怪奇絵巻の5話目に当たります「キルロイ」の掲載二回目です。

 ところで,みなさんが通った小学校,中学校,高等学校。学校の怪談や七不思議というものはあったでしょうか。
 私の通った学校は,残念ながら七不思議のようなものはなく,映画や小説の中で七不思議のある学校が出てくるのをほんのすこし羨ましいなと思いながら過ごした覚えがあります。
 学校は学生たちにとっての“日常”であり,同時に周辺地域とは隔離された“非日常”であるという不確かな境界線上に作られた空間とも言えます。
 そのような学校だからこそ,現実や常識から一歩ずれたモノ,怪異が存在することに小さな期待を寄せてしまうのですが,そういった期待を抱くのは私くらいのものなのでしょうか。


前回までの「キルロイ」
キルロイ1

今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――


ふたつ 校庭の一夜桜は、願いを叶えてくれる。願いのない者は一夜桜をみてはならない
――私立陽波高校七不思議
キルロイ1
連作短編,黒猫堂怪奇絵巻の5話目に当たります「キルロイ」の掲載一回目です。
前回までの物語の中心であった風見山から大きく変わり,今回の舞台は学校になります。

続きを書くのが2ヶ月近くあいてしまったので,雰囲気を思いだすのに力を費やさなければならないのが,まだまだ技量が足りない証拠なのかなあなどと思う毎日です。


今までの黒猫堂怪奇絵巻
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――
黒猫堂怪奇絵巻5 キルロイ

1 
ひとつ 理科室の右から3枚目の窓には飛び降り自殺をした男子生徒が貼りついている
――私立陽波高校七不思議
薄闇は隣で嗤う3(了)
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う1
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う2

―――――――


 薄闇は常に光を窺っている。光の届かなくなるその境界線に潜み,気がつかれないように少しずつ,しかし着実に光を浸食する。





薄闇は隣で嗤う2
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
黒猫堂怪奇絵巻4.5 薄闇は隣で嗤う

―――――――

 これは,あくまで僕が他人から聞いた話に過ぎないし,今話しても後の祭りなのかもしれない。けれども,ここにこうしてお姉さんが現れた以上,話さなければならないね。
 僕自身も,こうして君と話を出来ているし,多少の“霊感”がある。だから,人には見えないモノを見ることはできる。
 だから,西原当麻の本がウチに入ってきたときに,この本はもしかすると呪物の類かもしれない。そう思ったんだ。けれども,呪物は普通,そこにこめられた念を発するのに,西原当麻の本は他人の念を吸いこんでいく,そんな気配がしていて,呪物とは言いきれなかった。
 そんなこんなで僕なりに調べてみたけれど,西原当麻は巻目市に暮らしていた怪談作家だったというくらいしかわからなくてね。その後,ウチにくる常連さんのなかに,何人かあの本に興味を持った人がいて,それで,お姉さんに渡したあの招待状を置いていってくれって頼まれていたんだ。
 僕があの本が本物かもしれないという話を聞いたのは,君にあの本を売った後だ。
 ウチの本を時折物色しにくる骨董品屋の店主がいてね。彼にふと西原当麻の著作の話をしてみたんだ。そうしたら,急に目の色が変わって,もしその本をまた手に入れたら見せて欲しい,あの本は本物の呪物の可能性があるって言われてさ。
 それで,ずっと不安になっていたんだ。君があの本に触れたことで何かに巻き込まれるんじゃないかって。
 まさか,こんな形で不安が的中するとは思わなかったよ。



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HN:
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37
性別:
非公開
誕生日:
1986/09/15
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色んなところで見かける人もいるかもしれませんがあまり気にせず。
ブログとか作ってみたけれど続くかどうかがわからないので、暇な人だけ見ればいいような。
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