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作成した小説を保管・公開しているブログです。 現在は連作短編が二篇の他,短編小説,エッセイの類を掲載しています。 連作小説の更新ペースは随時。二か月に三回を最低ラインとして目指しています。
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ラフテキスト 呪絵
<いわゆる備忘録>

ある朝、家族の描いた絵に殺される夢を見た。
という話を聞いて、そこから物語を作ってみようという話をしていたことをふと思い出しました。

特にプロットを考えたわけではないので、ラフテキストとして冒頭の部分だけを残しておこうと思います。

現状のイメージとしては、
年内に5万字程度の短編として完成させられればいいかなと思っています。

タイトルは【呪絵】。読み方は「のろいのえ」「まじないのえ」のどちらにしようかなあと迷っているところですが、編集時に自分で読んでいる時はノロイエの話と呼んでいます。

どうでもいいことですが、全く用事のない時より用事のある時の方が小説の場面が思い浮かぶのは、頭が回転しているからなのか、頭を回転させるために必要な通過儀礼なのか、はたまた現実逃避のための一手なのか、毎度のことながらそのようなことを自問自答しています。

ところで、用途に合わせて文章における読点をコンマにするか読点にするか使い分けているのですが、前の設定を引き継いでいる事を忘れているためにコンマにしたいところを読点のまま書き続けたり、読点にしたいところをコンマにして書き続けたりしてしまうことがあります。こういうものを直すにつけて、編集の作業って言うのは小さなことからはじまるものなのだろうなあと思ったりするところです。

以下、ラフテキスト本文です
―――――――――――――――――



【呪い絵】



 絵とは描いた者の内面を抜き取り、被写体に重ね合わせたものである。
 故に、時として、絵には被写体に対する描き手の想いが染み込んでしまう。
――西原当麻 絵画と怪異についての一考察

 家中の荷物をあらかた梱包し、家の中に残っているのは最低限の家具と衣類だけだ。三か月という短い滞在期間も、今日で終わりだ。
 私は、一休みしようと二階の自室から一階玄関へと続く階段を下る。リビングでは父と母が食器の梱包を終えて一息ついたところらしい。母はお茶にしましょうと台所に消えていった。
 私は、階段を下りる途中、壁紙の色が変色した部分に目をやった。そこにあったはずのものは既になくなってしまったが、四角く縁取られた黒い染みは、かつてそこにあったものを思い出させる象徴である。
 そして、私たち家族に出来た小さな隙間の象徴でもある。

 いや、本当はもっと前から溝はあったのだ。あの老人と青年が言うように、私たちは大きな問題を抱えているにも関わらず、誰も直視しようとしなかった。
 ただ、それだけのことなのだ。

********

 初めて見た時から、あまりその絵が好きになれなかった。父は良く出来ていると絶賛し、家の何処かに飾ろうという話になった。結局、飾るのならばなるべく目立つところが良いだろうということで、リビングから二階へあがるための階段、その踊り場に絵は飾られた。
 タイトルは『家族の肖像』。まるで写真のように精巧に私たち家族の姿が描きこまれている。作者である私の妹は、引っ越し前に撮影した家族写真を模写する形で家族の絵を描き上げたのだという。
 まだ、習作だからと話す妹の自己評価とは裏腹に、とても良く出来た絵であったのは疑いない。ただ、何かが欠落しているような、もしくは何かが余計なような、そんな印象を受けてしまい、私はその絵が好きになれなかった。妹が習作だと言っていた理由もそんなところにあったのではないだろうか。

 私の家族は四人。印刷会社に勤める父と、専業主婦の母、そして大学生の妹に、ようやく仕事を始めた私。この家に越してきたのは妹が巻目市近郊の美術大学に進学したいと話していた折に、父の転勤先がたまたま重なったからだ。どうせならみんな一緒に棲める場所が良いと、わざわざ隣町から巻目市まで越してきたというわけだ。
 私も職場は市から電車で一本なので、反対することもなく、特に誰が異論を唱えることもないままに私たちは前の家を空け、この家に移り住んだ。
 それが、妹が大学に通うおおよそ二週間ほど前。
 そして、あの絵がやってきたのがそこからほんの一月後。

―――――――――――――――――――――

もっと長い印象があったのですが,導入部のラフテキストというとこの程度のものなのかなあとか。
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性別:
非公開
誕生日:
1986/09/15
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趣味:
読書とか創作とか
自己紹介:
色んなところで見かける人もいるかもしれませんがあまり気にせず。
ブログとか作ってみたけれど続くかどうかがわからないので、暇な人だけ見ればいいような。
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