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【発掘】インタビュー(西洋怪物への興味)
2013.12.09 Monday
2014年1月には,ザ・インタビューズというサービスが終わってしまうという話を聞いて,利用当時に作ったテキストを発掘してこようと思い立ったある日。
どうでもいい質問とか一瞬だけ盛り上がった楽しいサービスだったとは思うのですが,誰かにインタビューするっていうのは,誰かのことをよく知らないとならないわけで,ネット上で一般人同士でうまく回るようなサービスではなかったのかもしれませんね。
以下,発掘テキストです。
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どうでもいい質問とか一瞬だけ盛り上がった楽しいサービスだったとは思うのですが,誰かにインタビューするっていうのは,誰かのことをよく知らないとならないわけで,ネット上で一般人同士でうまく回るようなサービスではなかったのかもしれませんね。
以下,発掘テキストです。
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質問 「八雲さんと言えば、ペンギンと妖怪ですが、西洋の化け物系には興味はないのでしょうか?」
回答
西洋の化け物…ヴァンパイアとか狼男、……んーあとヤカーとかブロブとかもそうなのかなぁ…ショゴス?
結論から言うと西洋の化け物系も嫌いじゃないですが、検証対象としては苦手です。
とりあえず概念整理として、化け物(怪物・妖怪等も含む)、怪異(誰もいないのに部屋で音がするなどの怪奇現象全般を含む)、呪術(魔術や丑の刻参りなどの呪いを含む)くらいにわけるとして……
・化け物:怪異を惹起する原因が存在することを示す機能的概念及び同概念に別途形を与えて表現した形態、あるいは当時の科学的知見の埒外にあると把握されるモノ
・怪異:遭遇者及び遭遇者の帰属するコミュニティーにおいて遭遇当時の科学的知見では説明説明ができないと判断された現象一般
・呪術:一定のルールを踏むことで術者の目的に合致した効果が発生することが、術者あるいは術者の属するコミュニティーにおいて認識されているもののうち、科学的・合理的な因果関係を証明できないあるいは証明されたことがないものであり、かつ効果発生を目論み実践されている技術のこと(効果の発生の有無を問わない)
とでも適当に定義します(完全に私見なので異論はままあると思われます)。
上記定義に従って、ざっくり言うと、化け物というのは、何かしらの怪異に出くわしたときに、その怪異の原因あるいは怪異そのものの事を指すのですが、日本の妖怪は前者に属するものが多いのが特徴です。
そのため、日本の妖怪というのは、私たちが理解できないびっくりした出来事を説明するために生み出される概念であることが多く、発生場所、認知された怪異現象の類型、呼び名、形、といった観念子に分解して語ることが可能である点が特徴です。
したがって、日本の妖怪の説話と言うのは要素の組み合わせを分析し組みかえることによって過去から現代、もしかすると未来にわたって任意の現象を説明する概念として機能する可能性を秘めています。
そして、その事と裏返しとして、日本の妖怪は観念子単位で分解して解体することができる、論理による解体が可能なモノと言えると思います。
ぶっちゃけてしまえば妖怪というのは論理のみで丸裸にすることが可能であり、かつ論理によって対応可能な生き物たちなのです。刀とか破魔の力がなくともちょっと頭を使えば戦えるのです。
対して、西洋の化け物たちはどうかというと、最初に挙げた(ヤカーは除く)典型的な化け物たちは怪異の原因というよりは、怪異そのものとして扱われてきたことの多い生き物たちです。
彼らは人々の前に実際に姿を現し危害を加える目に見える存在として認識される事が多く、その対処法も妖怪のように論理的な解釈を加えるまでもなく、物理的・科学的な力に頼るものが大半なのが特徴です。
彼らはその正体を解析される時、観念子単位での解体ではなく生物学的な視点でまさしく解体されてしまいます。西洋の化け物と出会う登場人物たちは往々にして化け物に対して武力で交戦出来てしまうので、論理的な解体を必要としないのです。
そうして、時代が現代に近付くにつれて彼らは科学的な視点にさらされ、化け物から生き物へとその姿を変じていきます。そして最後には異常個体や新種の生物・ウイルスと位置づけられてしまい、化け物としてのアイデンティティーを奪われてしまうのです。
こうやって西洋の化け物系と妖怪を比べてみると、新しい物語を作って楽しみたい人間にとって西洋の化け物はものすごくやりにくい。時代が進めば進むほど、彼らの正体は科学的な検証に晒され続け、物語の流れによって解釈が大幅に異なるなんて事が認められなくなっていきます。厳密には解釈が異なることは往々にしてあるんですが、最終的に生き物として位置付けなければならないという宿命を負いがちな彼らには発展性が感じられません。
どんなに頑張って発展させても大抵はバイオハザードになってしまうのですから。
その点、妖怪であれば、観念子の揃え方や組み合わせによって、ある時は生物として、ある時は何らかの説明概念として、ある時は人の心の状態としての位置づけを与えることができます。西洋の化け物たちに比べると遥かに発展性を感じます。同じ妖怪を描いても全く違う物語ができる可能性を多分に秘めているのです。
とまあ、そんな感じの分析が念頭にあって、私は妖怪の方が好きです。もっとも、西洋の化け物たちも創作する側という視点から離れれば、多種多様な生き物がいるので好きですし、神様とか悪魔とかまで含めていけばメガテンのようになんだか楽しい空間ができあがるので嫌いじゃありません。その意味では興味がないわけじゃないね。映画とか結構見るし。
しいて言えば、最後には銃やオノを持って武力で化け物を制圧しにかかる(物語の登場人物であるところの)西洋人が嫌いなのかもしれません。
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あといくつか怪異に関する質疑応答の記事があったんだけど,とりあえず真面目に書いている気配があるのを先に発掘してみた。
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