作成した小説を保管・公開しているブログです。
現在は連作短編が二篇の他,短編小説,エッセイの類を掲載しています。
連作小説の更新ペースは随時。二か月に三回を最低ラインとして目指しています。
[PR]
2025.02.02 Sunday
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
迷い家1
2013.07.09 Tuesday
黒猫堂怪奇絵巻1 煙々羅
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
―――――――
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
1
――名前はわかりますか?
名前……僕の名前、あきやま、秋山恭輔。
僕が名前を名乗った時、声をかけていた看護師と医師の顔が一瞬ぎょっとしたように思うのだけれども、その記憶も曖昧だ。
病室の窓から陽の光が入り、雀の鳴き声が聞こえてくる。
僕はベッドから身体を起こし、病室の中を見回す。病室にこれといった私物はないが、目が覚めるたび、記憶を失った僕を訪れる人がいないかと期待してしまう。もっとも、今まで病室にやってきたのは医師か看護師だけだ。
医師がいうには、僕は何かに巻き込まれ、記憶を失った。今の僕が覚えている事と言えば、自分の名前が秋山恭輔だということ、それと山の中で奇妙な出来事を体験したということだけだ。
自分が何処で暮らしていて、どんな仕事に就いていたのか。そうした身の回りの情報は一切わからない。
医師は、思いだしたことがあれば書きこむようにと数冊のノートを置いていった。僕は、気の向くたびに、このノートに書きこみ、自分の記憶を辿ることにしている。
-――――――
そこはいわゆる座敷牢と呼ばれる場所だ。洞窟の奥に格子を作り、人を閉じ込めている。岩壁は冷たく、洞窟内には冷気が漂っていた。
一番印象に残っているのは、座敷牢の中にいる、物憂げな視線で僕を見つめる長く綺麗な黒髪女性の姿だ。確か、名前は、孝子だったと思う。
牢の前では、常に、男が数名見張りをしていた。男たちは着物を身に付け、両腕に籠手を嵌めていて、まるで時代劇から出てきたような風体だ。
僕は、見張りが交代する時間に合わせて、一日四回、座敷牢に食事を運ぶ役目を担っていた。どうしてそんなことをする羽目になったのか、その経緯は思い出せない。
新たな見張りと連れだって洞窟を下り、座敷牢の中で暮らす孝子に食事を渡し、彼女が食事を終えるまで、そこで彼女と話をする。それが僕に割り当てられた仕事だ。
孝子は牢の中にいながら、物事を知っているのか、僕は多くの話を聞いた。特に人に憑く鬼の話は何回も聞かされたように思う。それは『鬼とは人の心に巣食う邪な気持ちである』といった宗教的な話ではなく、確かにそこに存在する、鬼の話だ。
孝子はその話をする中で、何度も、孝子の座敷牢がある洞窟は、鬼の住処に続く道であり、誰かが入り口を封じ続けなければ、地上へ鬼が現れるのだと話したのだ。
――6月6日付 秋山恭輔メモノート一部抜粋
*******
黒猫堂怪奇絵巻2 虎の衣を駆る
黒猫堂怪奇絵巻3 とおりゃんせ
―――――――
黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家
1
――名前はわかりますか?
名前……僕の名前、あきやま、秋山恭輔。
僕が名前を名乗った時、声をかけていた看護師と医師の顔が一瞬ぎょっとしたように思うのだけれども、その記憶も曖昧だ。
病室の窓から陽の光が入り、雀の鳴き声が聞こえてくる。
僕はベッドから身体を起こし、病室の中を見回す。病室にこれといった私物はないが、目が覚めるたび、記憶を失った僕を訪れる人がいないかと期待してしまう。もっとも、今まで病室にやってきたのは医師か看護師だけだ。
医師がいうには、僕は何かに巻き込まれ、記憶を失った。今の僕が覚えている事と言えば、自分の名前が秋山恭輔だということ、それと山の中で奇妙な出来事を体験したということだけだ。
自分が何処で暮らしていて、どんな仕事に就いていたのか。そうした身の回りの情報は一切わからない。
医師は、思いだしたことがあれば書きこむようにと数冊のノートを置いていった。僕は、気の向くたびに、このノートに書きこみ、自分の記憶を辿ることにしている。
-――――――
そこはいわゆる座敷牢と呼ばれる場所だ。洞窟の奥に格子を作り、人を閉じ込めている。岩壁は冷たく、洞窟内には冷気が漂っていた。
一番印象に残っているのは、座敷牢の中にいる、物憂げな視線で僕を見つめる長く綺麗な黒髪女性の姿だ。確か、名前は、孝子だったと思う。
牢の前では、常に、男が数名見張りをしていた。男たちは着物を身に付け、両腕に籠手を嵌めていて、まるで時代劇から出てきたような風体だ。
僕は、見張りが交代する時間に合わせて、一日四回、座敷牢に食事を運ぶ役目を担っていた。どうしてそんなことをする羽目になったのか、その経緯は思い出せない。
新たな見張りと連れだって洞窟を下り、座敷牢の中で暮らす孝子に食事を渡し、彼女が食事を終えるまで、そこで彼女と話をする。それが僕に割り当てられた仕事だ。
孝子は牢の中にいながら、物事を知っているのか、僕は多くの話を聞いた。特に人に憑く鬼の話は何回も聞かされたように思う。それは『鬼とは人の心に巣食う邪な気持ちである』といった宗教的な話ではなく、確かにそこに存在する、鬼の話だ。
孝子はその話をする中で、何度も、孝子の座敷牢がある洞窟は、鬼の住処に続く道であり、誰かが入り口を封じ続けなければ、地上へ鬼が現れるのだと話したのだ。
――6月6日付 秋山恭輔メモノート一部抜粋
*******
【6月7日】
八度目の電話。電波が入っていないか電源が切れている旨を伝えるおなじみの機械音声が聞こえてくる。
夜宮沙耶は、携帯端末を閉じ、片岡長正に向けて首を振った。
「ダメです。通じません」
秋山恭輔が七鳴神社から姿を消して三日。夜宮たちは一向に彼の行方を掴めない。
一般に、祓い師たちは常に変異性災害対策係の指揮監督下にいるわけではない。担当官は祓い師ほど強い霊感を持っているわけではなく、足手まといになることもある。加えて、祓い師たちは独自の調査ルートを持っており、変異性災害対策係とは別に活動することも多い。
夜宮と秋山の関係性もそうした実情に当てはまるところがあった。だから、彼の姿が消えた時にも、いずれ調査結果をもって戻ってくると楽観的に考えていた。
ところが、三日経っても、秋山から連絡がない。彼が立ちよりそうな場所に連絡を入れてみたものの、行方を知る者は誰もいないうえに、携帯端末は、全く繋がらない。
「やはり、何かの事件に巻き込まれたのでしょうか」
何かの。そう口にするも、夜宮の中にあるのは、変異性災害に巻き込まれた可能性だ。彼女が観る限り、秋山は優秀な祓い師だ。しかし、どんな祓い師であれ、常勝無敗ではない。相性の悪い変異性災害と出くわし、連絡の取れなくなっている。そうした光景が頭をよぎるたびに、夜宮は秋山の行方を見失った自分を責めそうになる。
「確かに、岸さんの言うとおり、変異性災害の兆候はありますが、現状では手掛かりが少なすぎます。慌てる前にまず、情報を整理しましょう」
長正も、秋山の行方を案じているのだろうに、夜宮に比べて遥かに落ち着いている。
「すみません。担当官の私がしっかりしなきゃいけないですね」
「気にしないでください。秋山さんがこれだけ連絡取れなくなるのも珍しいですし、このタイミングでは私も不安になります。あ、でも」
「夏樹さんには悟られないようにですよね。わかっています」
夏樹には、秋山は用事で大学の研究室に戻ったと伝えている。秋山の行方が知れなくなったことを、今の彼女に伝えないでほしい。長正の要望を受けてのことだ。
夜宮は、三日前、長正から聞いた夏樹の過去についての話を思い返した。自分が尋ねてしまったことで、夏樹の心が揺らいでしまっているかもしれない。そう思うと、夜宮としても、これ以上、夏樹を不安にさせることは伝えたくなかった。
2
【5月30日 夜】
多様な生業の知り合いをもっていると、意外な時に役に立つ。できれば知り合い同士の繋がりはないほうがいい。自分を起点にしない限り知り合い同士が接点を持たないような状態が理想的だ。
何故、そのような人間関係が理想的なのか。そうした質問をしてきたのはどの部下だっただろうか。
火群たまきは雑居ビルの3階にある中古パソコン店の入り口をくぐった。看板も出さず宣伝もしない上に、このビルには他にほとんどテナントが入っていないため、いつ訪れても客がいた試しがない。初めてこの店を知った時、火群はどうやって生計を立てているのか不思議でならなかった。
もっとも、常連になれば、この店はぼろもうけしていると思うようになる。要するに、火群のような客から暴利をむさぼっているのだ。
「店長? 常連さんが来ましたよ」
カウンターの奥に声をかけると、引き戸が開き、店長が頭を覗かせる。
「ああ。たまき君……さっき受けた件だよね。持っていくから……代金はいつもの通り」
用意していた紙幣を見せると、店長が満足げに頷いた。奥の部屋はあまりに暗く、まるで、生首が宙に浮いているようである。
「準備いいね。そっちのプリンタで出力するから確認して」
引き戸が閉まり、カウンター横のプリンタが動き出す。
「どう? それでよかった?」
出力された資料に目を通していると、いつのまにか店長がカウンターで紙幣を数えている。一体いつ店先に出てきたのだろうか。火群はいつも彼の動きに注意を払っているつもりだが、部屋から出てくる瞬間を捉えられたことがない。
「この監視カメラに写っている女性が最後に端末にアクセスした人物か」
印刷された資料は、あるネットワークスペースの閲覧端末を追跡したものだ。依頼をしてから約三時間。過去二週間にわたり、件のネットワークスペースを閲覧した端末を追跡し、端末付近の監視カメラ映像を収集していた。最終閲覧者の利用端末は、カフェテリアの個室ブースに設置されていたようで、当該ブースの入り口をズームで撮影した映像が添付されている。
店長のことだ、ネットワークを介して無断で防犯カメラに侵入し、店内を録画したのだろう。相変わらず支持できない手法である。
「閲覧端末を探るのなんて、コツさえ掴めば簡単だよ。そう、そのブースが最終アクセスの端末だね。その女性は閲覧者……かな」
「なんだ、歯切れが悪いな」
「閲覧した形跡はあるけど、書きこみされた様子はなかったね。彼女は管理者なんじゃないかな」
店長が火群の手から資料を、最後の頁を見せる。そこには、監視カメラを睨みつける女性の顔がしっかりと映り込んでいた。
「それに、あのスペースの内容なら、覗かれることに警戒するのは閲覧者より管理者だと思うんだよね」
「こっちの位置まで探知されていても、俺は責任もてないからな」
「僕だって、商売でやっているんだ。その辺の対策に抜かりはないよ」
店長は口元だけ笑みを浮かべ、虚ろな目を細めた。
「その女、例のスペースの管理者側なら、彼女の身元、知りたいんじゃないの?」
相変わらず金の匂いに敏感だ。
「いいや、今回はこれでいい。俺を手伝わなくていいから、このスペースを触った痕跡を綺麗に消しておくんだ。この店が閉店するのは、俺も悲しいしね。それじゃあ、また来るわ」
「そう……それは残念だね。今後ともごひいきに」
背中越しに聞こえる店長の声に手を振り、火群は店を後にした。
*******
火群がそのネットワークスペースを知ったきっかけは秋山恭輔の報告書だ。
篠山斎場で発生した煙の怪異、その発生原因に関する補足資料として挙げられた「変異性災害を助長するような情報を交換するスペース」。
報告書には、夜宮沙耶の手により、当該スペースが既に存在しないことについての追加報告が添付されていたが、火群は、仕事の合間に興味本位で当該スペースを検索していた。
――検索結果を表示します。
ネットワークスペースで怪奇現象を検索する行為は、9割方、徒労だ。簡単に噂を流せるうえに、真実でないことに誰も異を唱えないためだ。
だから、火群も検索結果にとりたてて期待はしない。しかし、その検索結果を眺めたとき、火群は思わず作業の手を止めた。
“みんなが知っている街の噂・都市伝説を交換しよう”。質素な紹介文の下作られたネットワークスペースには、ろくろ首を見かけた話、幽霊タクシーに乗った話、ポルターガイスト、こっくりさん、とありきたりな怪談が並んでいた。ここまでならよくある話だ。
しかし、今回、そこに記載されていた怪談の経緯は、火群がよく知っているものだった。目の前に積まれている報告書の山を探せば、彼の記憶と合致している事を裏付けられるだろう。このスペースでは、巻目市で現実に起きた変異性災害が怪談として語られている。
巻目市でかつて起きた変異性災害の情報を取りまとめ、ネットワーク上に流している何者かがいる。秋山の予想は的を射ていたわけだ。
「起きた事件ばかりを書きこんでいるわけでもないわけか……」
火群は、昼間に部下から渡された噂のリストを思い出していた。無限につづく石段が存在する。そんな噂ではなかったか。目の前の画面には、同じ噂が書きこまれている。
【石段の噂】
ある町の山際には、不思議な石段がある。その石段は、何処まで行っても終わりがなく、一度迷い込んでしまうと上っても下っても石段ばかりが続くという。だから、そこに暮らす人々は石段の先が見えない時にはそこを上ろうとしないのだという。
書き込み日時はちょうど一週間ほど前、このスペースが作成された時とほぼ同時だ。そのころ、変異性災害対策係はこの噂を把握していなかった。
どうやらこの街には、変異性災害対策係よりも早く、怪異の影を探り、それを広めようとする者がいるらしい。
*******
【5月30日 夜】
カフェテリアのマスターは店を訪れた女性を覚えていなかった。だが、その程度のことでは火群の障害にはならない。
彼女の利用していた個室を指定し、中に入る。据え置き型の情報端末が一台と、椅子が一つ。両側の壁には利用規約や、他店舗の営業チラシが貼られている。端末は、電源を落とすたびに利用履歴を削除し、上書きするシステムになっており、専門的な技術がない火群には、前回の利用者が何を見ていたのか確認する術はない。
火群は、一通り部屋の確認を終えると、右目に付けていたコンタクトレンズを外した。
意識を右目に集中させると、個室の景色が歪み、視界が端から紫がかってくる。異界を覗く瞳、その感覚に合わせるたびに、胃がひっくりかえるような激しい嘔吐感に襲われる。
視界の変化に身体が追いつかないからなのか、それともこの瞳が火群の体質に合わないからなのか、毎度やってくる気持ち悪さに、思わず呪詛が漏れる。
先天的な能力者たちは、このような苦しみに耐え抜いているのだろうか。それとも、彼らにはこの苦しみがないのか。
やがて、視界が紫色に染まると、囁き声が聞こえ始める。火群はうずくまっていた身体を起こし、個室内を眺めまわした。声はあらゆる物から漏れ聞こえてくる記憶の残りかすだ。火群は囁きに呑みこまれないよう意識を集中させ、個室に散乱した物を一つ一つ観察する。瞳を入り口に全身の感覚を浸食しようとする声達を聞き分け、目当ての物を探る。
――身体が欲しい
――俺のせいじゃない
――隣の奴うるさいぞ
――今日もかったるいな
五月蠅い。物に触れる手に思わず無駄な力がこもる。この瞳は感度がよすぎる。かつて話に聞いていたのは、このような騒がしい世界ではなかった。
――どうして、誰かに視られている。
――何、これ。まさか……“彼”が言っていたのはこれのこと
手に取ったペンから女性の声が聞こえる。これだ。他の声と違い、この声には“力”が混ざっている。霊感を持つ者が遺した記憶には心臓の鼓動のように低く力強い音が混ざり込む。瞳を何度も使ううちに気がついたことだ。声の内容からしても、おそらく直前にこの部屋を出た女性だろう。
火群は彼女の“声”に焦点を絞り、更に深い異界を覗きこむ。視界が濃い紫に塗りつぶされていく。全てが紫に覆われていく。自分が何者であり、ここはどこであるか、そうした認識が揺らいでいく。
アラユルモノヲムラサキニ
“視界”と呼べるものは何であったのか。紫。そう、紫こそが全てであり、紫であればよいのだ。
自らの思考の揺らぎに危機感を覚え踏みとどまろうとした時だ。突如、火群の視界は開け、気がつけば先ほどまでと同じ個室に立っていた。
何だこの表示は……リアルタイムで私以外の誰かがこのスペースにアクセスしている。
とにかくまずはあの記事を削除しなければ。誰が書きこんだのかは知らないが、あんなものが残っていては、仕掛けが終わる前に彼等に嗅ぎつけられてしまう。具体的な名前まで載せるなんて、いったいどこの誰が。
記事の削除ボタンを押し、私はそれに気がついた。変異性災害対策係などと言う奇妙な部署の名前を、都市伝説の紹介ページに書きこむのはどのような人間だろうか。業務の内容を知っている者、例えば、内部関係者。
慌てる私の手元で、携帯端末が震えた。
――誰かに視られているぞ
その内容に、私は息を呑んだ。画面を確認する。現在例のスペースにアクセスしているのは私を含めて三人。一人増えている。続けざまに携帯端末が震える。
――そちらの端末の場所を探っている。今すぐそこを出ろ
慌てて端末の電源を落とし、外に出る準備をする。テーブルにおいておいた社員証を手に取りスーツにしまう。個室のドアに手をかけて、周囲を確認して外にでた。
誰もこちらを観察しているような人間はいない。いや。
私の視線は店の端にある監視カメラに釘づけになった。此処を。私が立っているこの場所のみを正確に捉えるようにカメラの向きと角度が変わっている。
ブツリ。
テレビのスイッチが切れたような鈍い音が響き、火群は意識を取り戻した。鉄筋の壁にガラステーブルが眼に入る。どれも、正しい色彩で、視界から紫色は消えていた。身体を起こし、自分がソファに寝ていたのだと気がついた。
カフェテリアの個室で件の女性の痕跡を追って以降の記憶がない。すっかりおなじみになった瞳の後遺症だ。
右の瞳で深く異界を覗きこむと、その反動で事後の記憶が一部欠落する。但し、事前に予定していた行動はこなすことができる。失敗を重ねたうえに知った瞳の性質だ。
「迎田涼子か」
記憶の中の社員証の名前を口にする。件のネットワークスペースを作成した者は、迎田涼子の他に少なくてももう一人いる。その者の素性は特定できなかったが、迎田涼子から辿ればいずれそちらにも辿りつくだろう。
まずは迎田涼子から追跡することだ。とはいえ、瞳を使った後遺症で、全身が気だるく身動きするのも辛い。気が付けば瞼が重たくなり、火群は眠りに落ちていった。
―――――――
黒猫堂怪奇絵巻4 「迷い家」開始しました。
次回 黒猫堂怪奇絵巻4 迷い家2
PR
comments